猫の地球儀(ネタバレ有)

 久々に読み直しております。3年くらい間が開いたので、いちいち新鮮ですねー。現在は焔の章で「落っこちる話」が終わった辺りです。……いやー、当時も思いましたけど、この段階では幽&クリスマスの印象最悪(笑) 焔&楽への感情移入度が高すぎて、こいつらがむっかつくことむっかつくこと。でもこれが幽の章に入ると、途端に愛しくなってくるんですよねえ。
 あと、後半の展開知ってて読むと序盤でぐっと来る台詞とかが多いです。焔の「本気で戦えるのは最初の一回だけ。後は何度もやりあう内に相手のことを理解しようとしちゃうからダメだ」とか。あとは楽の見たスーパーヒロイン楽の夢ですね。微笑ましいだけの夢だけど、後の展開考えると……





(以下ネタバレ)



 幽の夢は、二匹の夢と人生を台無しにしちゃったんだよね。焔の夢は、最初の戦いで幽に勝てなかった時、もう叶わない事は決まっていた。焔が序盤に言ってた「相手に勝とうと相手の戦術を慮るうちに、相手と理解り合ってしまう」ってのは、そのまんま幽に負けた後の焔の行動だった。楽のは夢ってーか、まんま眠ってる最中に見る夢だったけど、美人の雌猫になって焔を助ける……そんな些細な夢も、もう叶う事は無い。楽はもう夢を見ることもないし、楽にやってくる未来は幽が(間接的とは言え)奪ってしまったから。こうして書くと、結構酷い奴だよね。作中で坊主に窘められてたし、本人も後半は自分の業を理解してたし。でも、幽の夢が叶う事を読者は祈ってしまう。他の夢を喰らう幽の夢が、叶う事を。焔や楽が犠牲になった分頑張ってもらわないと困るってのもあるけど、そんな悲しいのも辛いのも全部ひっくるめて地球儀を目指す幽が、たまらなく美しく見えるんだよなあ。36人のスカイウォーカーがどうだったか知らない、でも、実際に地球儀に至る手段を手に入れた幽は、一番幸せ者のはずなのに、一番悲しい存在に思えます。ラストの地球儀の青は、そんなものをぜーんぶ受け入れてくれる美しさだったから、私はこの物語を許せたんだろうなぁ(笑)
 ……幽を待ちつづけるクリスマスも切ないけど、実は焔のその後の方が気になってたり。焔もクリスマスの様に、螺旋階段で幽を待ちつづけたんだろうか? そんなセンチじゃないと思うんだけど。焔は幽がもう二度と戻ってこない事分かってたから、彼には「その後」があると思うんだよねー。負けて生き長らえるのが嫌だった焔は、スパイラルダイバーに戻れたんだろうか。それとも隠居しちゃったんだろうか。世を儚むってことは無いと思うけど、生活無能力者だし、幽も楽も失った後の彼が想像つかないっす。個人的には日光月光が可哀想なので復帰はしてほしいけどねえ。
 ……はっ! 一個道を見つけたぞ。ドールマスターに転向ってのもありえそうだが、むしろここは最初にスカウト来てたのが伏線なんですよ。そう、坊主の弟子入り(笑) 幽の話を聞いちゃった後&楽をぬっころした大集会に従うか甚だ疑問ですが、坊主の個人的な弟子ってのはありそうですよ。ってか、楽や幽はある意味決着がついたからいいけど、焔はこのままじゃ生きる屍で可哀想ですYO! そういや震電もソロっちゃったんだっけ。焔か坊主か、誰かいい人に拾われるといいなあ。



 (ここまでネタバレ)



 ……あー、早く幽の章まで読み終わりたいなー♪