フラノの日記その5 冒険稼業はヤクザ稼業


 閑話休題。今回は私の仲間たちとについて紹介することにします。
 旅先では、そりゃもう沢山の人たちと出会ったわ。
 何か知らないけど同行させてくれってお願いしてくるのもいたわね。
 でも私、あんまり冒険者の御仕事に乗り気じゃないから、パーティーは気が合う人と組んでいるの。戦力なんて二の次二の次。
 というわけで、現在のスタメンはセラ、ルルアンタ、フェティの三人。他の人は悪いけど、まったく連れまわしたこと無いわ。


 さて、折角だからそれぞれに自己紹介してもらおうかしらね。まずはルルアンタから、お願いね。
「はぁい、ルルアンタだよぉ。フラノはお友達で、恩人なんだぁ。だから、ルルアンタはフラノの役に立てるよう頑張ってるんだよぉ♪」
 可愛いでしょ。彼女はリルピー族の踊り子で、人間の子供みたいな容姿をしているの。ならず者に誘拐されそうになっているのを助けて、一人旅だって言うから道連れにならないって話になってね。
「うん、一人は慣れてるけど、やっぱり皆で一緒のほうが嬉しいんだぁ♪ フラノもそうだよね?」
 そうねえ。ルルアンタは可愛いし、残りの連中は見てて飽きないものね。これからもよろしくね。
「よろしくねぇ♪」


 はいはい、次いくわよ。フェティ、準備はいい?
「っていうか、何でこのアタクシがアンタなんかのお仲間紹介ッ☆に名前を連ねなくちゃいけないのよ!! アタクシは冒険者みたいなならず者でもなければ、アンタの個人的な友人でも何でもないんだから! そこのところ理解しておきなさいよ!?」
 相変わらずね。私も冒険者は嫌いだから、とっても気が合うと思うんだけど。
「ふん、確かにアンタは他の野蛮な連中とは一味違わなくもないわね。この高貴なエルフであるアタクシに認められたことを誇りに思いなさい」
 彼女が自分で言ったとおり、フェティはエルフ族なのよ。見てのとおり我がまま……もとい、育ちがいいものだから、あまり冒険には乗り気じゃないみたい。冒険エルフの祖として有名な長老に、旅に出ろって勧められたんですって。分かるわあその気持ち。御互い、勝手な身内には苦労するわよね。
「溜息ついている暇なんてアンタにはなくてよっ。アタクシに珍しくて胸躍るようなものを見せるのが約束だってこと忘れてないでしょうね! アタクシがいなかったらこんな貧弱パーティー、全滅のボロボロなんだから、しっかり励みなさいよ!」
 実際その通りだったりするのよね。ずーっと魔法系のソウルつけてたからとは言え、邪竜を一人で葬るくらいの使い手なんだから。
「そ……それくらい出来て当然じゃないの! アタクシは純血たるエルフなのよ!? 冒険でそこまで成長するなんて思ってなかったから、自分でもビックリ! だなんて思ってないわよ!!」
 そう(笑) まあいいわ、これからもその調子でお願いね。


 はいはい最後。セラ、貴方の番よ。
「下らん。こんな茶番に付き合っている時間はない。とっととアーギルシャイアの足取りを追うぞ」
 それは構わないけど、今の所何にも情報入って来て無いし、焦っても仕方ないわよ。
「……お前はほとほと呑気な奴だな。兄の事が心配なのではなかったのか?」
 お兄様が生きてるって太鼓判押したの貴方でしょ。……といいますか、良く考えたら入れ違いで村に戻ってるかもしれないとか思うのよ、私。そんな風に後ろ向きになるよりは、旅先でそのうち出会えると考えたほうがいいでしょう? 貴方との旅は退屈しないし。
「……こんな奴を連れて来たのは俺の見込み違いだったか」
 パーティーのリーダーは私って決めたでしょ。文句があるなら別行動でも構わないわよ……って言いたい所だけど、多分、たどる道は殆ど一緒よ? 折り合いつけてうまくやっていきましょうじゃないの。戦力的には、もう貴方と殆ど変わらない腕前よ。貴方の唯一認めた男の妹だものね。
「ロイも厄介な妹を持ったものだ。……良いだろう。お前の兄には妹の躾の悪さを咎めなければならん」
 上等。私もお兄様に、友人は選びなさいよって忠告しないとだわ。



 なかなかどうして、愉快なパーティよねえ。
 え? このメンバーで旅を続けている理由? そうね、HG剣士は成り行きだけど、他の二人は冒険者じゃないからかしら。
 だって、旅を始めてからであった私以外の冒険者って、フェティに喧嘩売ってたり、「金のためならなんだってやるのが冒険者だ!」とかのたまったり、HG剣士だったりでろくなのいないんですもの。オルファウスが「自由な旅を!」って言ってくれてるから旅は楽しんでるけど、冒険者を名乗るのが恥ずかしいわよね、これじゃ。