フラノの日記その3  冒険者仮免許


 私はフラノ。ちょっぴり土属性が強めな剣士見習15歳。
 住んでいた村が焼き討ちにあったり、お兄様が行方不明になったりと色々あったあと、結局お兄様の親友を自称するヘソ出しロンゲ男・セラと一緒に旅立つことに決めたわ。もっとも、私はセラを信用しているわけではないけどね。あのアーギルシャイアとかいう露出狂のせいで帰る家もなくなってしまったし、お兄様の行方を探るには、お兄様とホモ達……もとい友人関係にあったコイツが役に立つと思ったわけ。この男、口が悪くてむかつくことこの上ないわ。でも、頭も悪いみたいだから、扱い易いと思うのよね。
 さて、ひとまず私達が腰を落ち着けたのは、ディンガル帝国の首都エンシャント。ディンガルは英雄ネメアを擁するとして有名な国家で、私も名前を聞いたことがあるくらい。でも今は、その英雄様に逃げられたみたいで、色々大変なようね。セラも「冒険者として身を立てるなら、自由都市リベルダムに行くべきだ」とか言ってるし。なら最初からそっちに案内しなさいよ、このグズ。そもそも兄を追う=冒険者として身を立てるという図式がセラの中で出来上がってるのがワケ分からないし。まぁ気が利かないセラは気が利かないなりに私の面倒をみてくれようとしてるみたいだから、従ってあげますけどね。
 とりあえず冒険者ギルドに顔を出し、登録を済ませておく。素行調査に魔法探知みたいなのをかけられたり。一応構成員の質には気を配っているみたいね。フリーターも気楽じゃないわ。セラが冒険者の心構えやらなんやらを教えてくれたけど、「街中では全員別行動が暗黙の了解」だそうな。……ナニそれ。自由行動は構わないけど、徒党を組むのはおかしくないんじゃない? もしかしてセラ、自分がお兄様にハブられてたから勝手にルールにしてるんじゃないでしょうね(プ
 ま、無理して一緒に歩いて楽しい相手でもないので、言われたとおり単独でエンシャントをうろついてみることに。まずは装備を整えないとだわ。鍛冶屋で武具を売ったり鍛えたりできるのよね。さてさて、何を装備しようかな。武器は愛用のソードのままでいいかしら。鎧はまともなのつけたいわね。精錬もしっかりしておきたいわ。問題はお金が無い事だけど……あら、こんなところにお父様が「いざという時に使え」と残してくれた復活の真珠が!!
 ……売却♪ ありがとうお父様、いきなり大金持ちになっちゃった。あ、怒らないでね。蘇生薬なんて使わなきゃいけない状況って、はっきり言って終わってると思うの。セラを起こしてやる気になんてならないし。それなら、そもそもピンチにならない状況を作ることに力を注ぐべきよね? 娘にすぐ後を追って欲しくなかったら、許してね、お父様。というわけで、鍛冶屋で全身鎧を購入&ソードの強度を上昇。ふふ、装備だけ見たら、まるでどこぞの騎士みたいね。カタチから入るってのも悪くないんじゃないかしら。さて、所持金も大分少なくなったし、お買い物はこのくらいにして……ギルドのお仕事とやら、受けてみますか。