土曜日のトーキョーN◎VA

(注意)同人シナリオにつきネタバレあり!

 遅くなりましたがプレイレポートです。後でここに書いた記事をS-LOGに移動するかもしれませぬ。
 RLはSONEくん。いつもお世話になります。シナリオはdiceheadさんで発行されました『How 2 Change』より、カゲムシャシナリオ2本立てでした。一応他所様の発行物なので詳しい内容には触れないように感想戦したほうがいいのかしらん? ぼかしながら頑張ってみましょう。

 参加キャストは以下の通り。

“概念存在”アザゼル カゲムシャ◎●、タタラ、ハイランダー
 PLはぎるさん。カゲムシャ枠に参加決定したはいいものの、30分くらい悩みつづけるPL。カゲムシャ初めてだから仕方ないよね〜──とか思っていたら提出されたのが超イロモノ。全ての判定を<パントマイム><写し技><隠れバディ><模倣>etcの特技で補い、取得している一般技能は<社会:N◎VA><社会:外宇宙>のみ。装備も全部プレアクト購入だから、キャラシの右半分は空欄……あ、ブランチのエトランゼでガルーダだけとってたね。とにかくそんなキャスト。N◎VAにおいて社会/コネ技能が無いというのはそいつの存在自体が危ういとかルルブに書かれていたような気がするのですが、外宇宙から飛来した擬態生物じゃ仕方が無いですな(゜∀。)

「起きろ! アザゼル!」

声が聞こえた。
アザゼルと呼ばれた「彼」に、聴覚器官は無い。
「彼」の聞いた声は空気の振動による情報ではなく、怒鳴りつける男の意思そのものだった。

「起きやがれっつってんだろ! 俺様は急いでるんだ!」

強い指向性をもった意思が降り注ぐと、うつろなメモリーが満たされてゆくのを感じた。
からっぽな「彼」の中身は、次第に一人の男の情報で埋め尽くされる。
そこに存在するのはもはや「彼」ではなかった。

「へへっ、やれば出来んじゃねェか。俺様はもうちょっと男前な気がするけどな」

──良くわかってるじゃないか。その通り、俺様は男前だからな。

「やる事は理解ってんな? 俺はこれからカトリーヌちゃんの処にいってくるからよ」

──おう、まかせとけ! そっちこそフラれでもしたらただじゃおかねェからな?

稲垣光平は、相手の胸倉に指先を突きつけて、言った。

『──じゃ、上手くやれよ!』

鎮丘陵(しずおか・りょう) バサラ、カブト◎、イヌ●
 PLはカウさん。イヌ枠で参加したペルソナカブト(゜∀。)あれ? 一応BH隊員ってことになってたから多分問題無いんだろう。大地を操る能力で味方を守る青年警官です。毎回カウキャストは参加者唯一の常識人+突っ込み役になりやすく、今回もキャストの合流に一役買ってくださいました。<制裁>と<天変地異>で積極的に障害を排除してくれたのも好感度増。オープニングと<制裁>の妙な演出のせいで、後半は“精鋭部隊の生き残り”なる二つ名をつけられてました。

「なんてこった、機動捜査課の精鋭部隊がやられるなんて……」

爆破テロで崩壊したビルを眼前に、BH隊員・鎮丘陵は立ち尽くしていた。
テロリストを制圧するために踏み込んだ隊員は、誰もが鎮丘に劣らぬ実力を身につけた精鋭であったのだ。
彼らが一瞬の爆音の後に倒壊に巻き込まれたのは、冴子から状況確認の無線連絡が入った矢先のことだった。

「──鎮丘君、良く聞きなさい。テロリスト達は既に脱出しており、付近の総合病院に出現したと報せが入ったわ。重篤な状態の患者も含めた院内の人間全てが人質にとられている模様。貴方はただちに現場へ急行し、これを制圧しなさい」

テロリストの所在を聞くやいなや、応答するのも忘れて鎮丘は走り出していた。
任務に殉じていった同僚(なかま)のためにも、奴等の好きにさせるわけにはいかない──!




「──というわけで首謀者ニコラス・Jの身柄を拘束しにきたというのに、
 何でお前らまで人質になってるんだ、えぇッ!?」

中央ブロックを制圧した鎮丘は、人質の中に見かけた顔が含まれている事に気づくと、大声でがなりたてた。
しかし詰め寄られた当の本人はこともなげに言うのだった。

「医者が病院にいて不都合でもあるのかね。大体君のところの『精鋭部隊』とやらはいくつあるんだ。この前の倉庫でもひとつ潰れていただろう」

──機動捜査課隊員・鎮丘陵。
彼が所属してきた数々の部隊は常に優秀な精鋭の集まりであったが、例に漏れず危険な現場に投入され壊滅している。そんな中、何故か鎮丘だけは「たまたま外で連絡していた」「たまたま別の任務についていた」などの理由により悉く難を逃れつづけ、ついた二つ名が──

「流石は“精鋭部隊の生き残り”じゃな」
「いや全く。尊敬に値する」

「その名で呼ぶなあああああぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

カブトにあるまじき二つ名を連呼され、鎮丘陵の泣き声交じりな絶叫がロビーに響くのだった。

“生殺与奪”Dr.筵(ドクター・むしろ) タタラ◎、カタナ●、カゲ
 データはこちらを参照。フェイト枠での参加。フェイトキャストは持っていたのですが、他2人の戦力を吟味した上で、アタッカーであるこちらを採用する事に。2本目のシナリオにタタラ導入があることを確認してRLに申し出た所、快諾してくださいました。RL氏に感謝。

黒衣の男が、横たわったテロリストの胸倉から何かを取り出した。
小箱だ。それも丁寧にラッピングされた、プレゼントボックスだった。
男は箱に耳を押し当てると、目を閉じて中の音を探っているようだ。

「30秒か」

何のことだか分からなかったが、男は小箱をワゴンの上に放り投げて、私と患者のもとへ近づいてきた。
男はゴム手袋を身に付けるや否や、手術を中断されて開腹されたまま横たわる患者に手を伸ばした。

「ぼやぼやするな、閉じるぞ」

男はそれだけ言って、さっさと作業に取り掛かってしまった。
私は事態を把握しようとするのに精一杯で、立ち尽くすしかできないでいた。
しかし目の前で繰り広げられた光景は、さらに我を忘れさせるようなものだったのだ。
男の手が機械的な動作を繰り返すたびに、凄まじい速度で患部が縫い上げられていく。
それも早いだけではない、一針一針の間隔は測ったように正確無比。
これが人間の技か? ミシンで布キレを縫うのとは訳が違うのだぞ!?
自分の患者だというのに手出しもできず、私はただただ魅入っていた。

最後の一針を縫い終え、絹糸が断ち切られると同時に私は我に返った。
男はワゴンに乗せておいた小箱を取り上げると、一瞬目を細め、次の瞬間、なんの躊躇いも無くメスを刺し入れた。
プツリと何かが切れる音と、電子音──空耳だったのかもしれないが──が微かに聞こえた。

男の掌から小箱がこぼれおち、床に落ちる。
メスを入れられた面がひしゃげ、その中身が隙間から顔をのぞかせた。

00:00:01

デジタルの数字は、そこで止まっていた。

「──これにてオペを終了する。
 中央病棟はすでに開放されている、速やかに患者を搬送したまえ」

 一本目 『稲垣光平の華麗なる一日』
 激しく私用で公務をすっぽかす稲垣光平と、それになりかわるカゲムシャの一日奮戦記。おそらくシーン1は稲垣からカゲムシャに依頼が行われるシーンだったと思うのだが、今回のカゲムシャは外宇宙から飛来した謎の金属生命体なので、イワヤトビル地下666mの研究施設でファーストコンタクト(;´Д`)どんなオープニングやねん。珪素生命体に怒鳴り散らす稲垣光平たんハァハァ。報酬代わりに渡されたのは10プラチナム相当のシリコンの玉。どうやらアザゼルはこれを加工して物資を調達するという設定らしい(ぇー
 しかしイロモノキャストとはいえカゲムシャはカゲムシャ、化けてしまった後は割と普通に進行いたします。フェイト枠の私はリアル稲垣と探偵ごっこを楽しむこと数シーン、イヌ枠の鎮丘が合流してきてつつがなく情報交換。一方カゲムシャは孤立無援に稲垣ロールプレイ。他シーンへの登場判定は全部手札回しに使用してイベントに集中しておられました。ぶっちゃけクライマックスで<神出鬼没>が使用されるまでカゲムシャの孤立状態が続いてしまい、気分はキャスト4に[クロマク:稲垣光平本人]がいるみたいでしたね。どこで入れ替わったのか分からないのが、この錯覚に一層拍車をかけております。私は「実は最初っから」に一票〜。他の参加者さんにも聞いてみたいところだ。敵ゲストの爆弾魔に関しては、PL全員で「カブキタタラだ間違いねぇ!」とヤマはってたのですが、カブ違いでした(ぇ
 エンディングはリアル稲垣とフェイク稲垣によるカトリーヌちゃんの奪い合いでスタート。たまたま不可知を残していた私が横からヒロインを掻っ攫うという、えらくギャグなオチをつけて大団円とあいなりました。


 二本目『灼熱の聖夜』
 大病院を舞台に繰り広げられる爆破テロ&クリスマスシナリオ。敵ゲストが爆弾魔であることが早々に判明し「またですかい!」と言及したい気持ちにかられるものの、RLが速攻で突っ込みを入れてしまったため不問に。ほら、爆弾好きだもんね、みんな。オーケーオーケー。
 リサーチフェイズはダンジョン風味に進行。設定された部屋を順番に攻略していって、最後に親玉の場所へたどり着くという仕組みです。舞台はテロリストに占拠された病院なので、移動するごとに携帯判定(Gエリアの難易度)をせまられる酷な仕掛け。あぁ、私のいたいけな医者の装備品がぶんどられてしまいますわ!


 黒サンタ「おいちょっと待て!何でこんなもん持ってるんだよ!」<斬魔刀

 ……ははは、何のことでしょう。
 一方アザゼルは本領発揮。


 アザゼル「RL、私も携帯判定必要ですかね?
      プレアクトで外界以下の装備全部購入したんですけど」
 RL「……いや、携帯判定で手札無限に回されたらたまらんから全部持ってていいよorz」


 そんなんアリ?(;´∀`)
 この後も「成功しさえすればいい隠密判定」だとか、アザゼルのためにあるよーなギミック連発。スート選ばないのは強いね……。途中でタタラチーム/カゲムシャ・イヌチームに分断されましたけど、隠密持ちが分かれたので致命的な状況を引き起こす事無くクライマックスまでたどり着けました。よきかなよきかな。クライマックスで敵ゲストとお目見えするわけですが、そのあんまりな外見描写に一同総ツッコミ。でも一番突っ込んでたのはイラストを担当したRLです。クライマックスらしく神業の応酬で盛り上がり、見ごたえある演出もちらほら。人質に取られる子供→<天罰>→シャンシャンシャンと鈴を鳴らして天から舞い降りるトナカイのソリ。子供を乗せて天高く〜→敵がえええーっ(;´Д`)となったところでカット進行開始→<制裁>→シャンシャン(略)トナカイのソリになぜか次々乗せられていく敵トループ→そして天へ……(爆笑) 何このメルヘンな戦闘、馬鹿にしてるの!?
 そんなこんなで無事戦闘をこなし、<神出鬼没>の使用箇所もバッチリキメてアクト終了。流石に連続二本立ての後はみなさまハイテンション&疲労困憊という面白い状態に陥っていました。
 秋葉原くんだりまで出てきただけの満足感がありました。RL、PL、シナリオ作成者の各皆様に感謝の意を表させて頂きます。